9月12日
『一紀くんおはよう。今から家を出るところです。
おみやげ買ってくるから、楽しみにしていてね!』
今日は、はばたき学園高等部の二年生が五泊六日の修学旅行へ向かう日。
自由行動はクラスの女の子たちと過ごす予定であることを教えておいたけれど、出発直前に一紀くんへ朝の挨拶も兼ねたメッセージを送ってみた。一年生の彼はいつも通り授業のため、返事をもらえるとしても昼過ぎになるかなと思っていた矢先、送って数分も経たない内に返信が届く。
『先輩おはよう。出発報告どうも。
気をつけて行ってらっしゃい』
彼らしく、シンプルな返信に笑みが零れる。登校前の忙しい時間帯でも返事をしてもらえたことが嬉しくて、長崎に到着した後でまたゆっくりメッセージを送ろうと決めた。
「お父さん、お母さん。それじゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい、。修学旅行楽しんできてね」
「何かあったらすぐ連絡するように」
「うん!」
(一紀くんへのおみやげ。喜んでもらえるものが、見つかるといいな)