愛、燦々と
珍しく日が暮れる前に自宅へ帰ってくると、我の外套に包まった伴侶が居間のソファに寝そべって気持ちよさそうに眠っていた。
室内は未だほんのりと暖かく、眠る前はちゃんと暖房もつけていたと思われる。ひとまず消灯していた暖房のスイッチをつけ直し、帰宅した旨を伝えるべく更に歩み寄った際、テーブルの上に見覚えのあるものが置かれてあったことに気がついた。
『この箱には、私の宝物を仕舞っているんですよ』
そう言って、以前にこにこと微笑みながら教えてくれた可愛い伴侶の姿も思い出す。
いつもしっかりと蓋が閉じられているはずのそこには、かつて我が伴侶にしたためてきた手紙が丁寧に収められていた。
きっと、今日に限った話ではなくこれまでも我が不在の時、こうして宝物を仕舞った箱を持ってきては大事に読み返してくれていたのだろう。
「……、なかなか悩ましいな」
今すぐ無防備な唇に触れたいと思う反面、眠っている最中に不意打ちでするのもどうなのかと考えた末、うっかり脱ぐのも忘れていた厚手の外套を伴侶に掛けた。
そのまま身体には直接触れず、今年の記念に買ってきた紅茶の缶を開けて湯を沸かす準備も始める。
(やがて、室内に満ちるほどの芳醇な香りによって我が伴侶も目覚めてくれるに違いない)
起きた後は、伴侶も気に入っているこの紅茶をお供に暫し二人で語らうとしよう。
手紙の件についても口にしたら、今でも初々しい伴侶は照れてしまうだろうか?
――だが、そんなところも含めて本当に愛おしいと思っている。
たとえ恥ずかしがられても何度だって口づけたいし、せっかくだからたまには伴侶からも思いきり抱きしめられてみたい。
そのようなことを思い浮かべながら、ともに過ごした思い出がたくさん残っている部屋を眺める。
晩秋の西日が差し込む室内はやはり暖かく、伴侶の小さな寝息が穏やかに聞こえていた。